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2019年6月6日 : ニュース

「男の職場」でしなやかに


(2019年5月30日熊本日日新聞参照)
工事現場、長距離輸送へ進出

 5月21日午後9時すぎ。街頭一つない美里町の山中の県道舗装現場で、サン企画工業(宇城市)社員の木下果歩さん(23)の仕事が始まった。入社3年、仕事は現場監督の補助だ。近くの集落があり、県道を通行止めにしての作業は朝6時までの夜間限定で数日間続く。まだ肌寒いが「夏の炎天下での作業よりはいいかな」。
 氷川町出身で、沖縄の専門学校で学んだ。親との約束でUターン就職。現場では工事の状況を写真で記録するほか、路面を削る什器の作業をスコップでサポートする。148センチの小柄な体が、頭一つ以上大きな男性たちに混じって動き回る。
 年間の現場数は200件超。昨年からは、温室効果ガスの排出量調査など、社の環境保全の取り組みも任されている。「不安もあったけど、飛び込んでみると女性も働ける」「男の職場」のイメージが強かった工事現場は今、女性の技術職が徐々に増えている。
 大手建設会社を対象にした国土交通省の調査によると、2007年に56社で計2854人だった女性技術者は10年間で1.8倍の5154人に増え、技術者に占める女性の割合も、2.6%から4.5%となった。
 県内でも、15年10月に建設業界で働く女性たちの会「くまもと建麗会」が誕生。会では会員による工事現場の見学会や、愚痴をこぼし合う「女子会」や、メーキャップ講座といった一風変わった研修も実施している。森山澄江会長(50)は「普段はお化粧しない子も多いから、ぎこちなく化粧道具を使う子もいますよ」と笑う。
 ”資格社会”の建設業界は、技術を磨けば結婚や出産など女性特有の人生の転職もリスクではないという。「むしろ女性が活躍しやすい」と森山会長。
 建設業と同じように近年、女性の進出が目立つのが長距離トラックのドライバーだ。
 熊本市東区のヤクシン運輸で大型トラックを運転する中嶋琴絵さん(29)=同市西区=は、16年秋に大型免許を取って介護職から転職した。毎日、食品から飲料を菊池市から宮崎県都城市まで運ぶ。
 1日の走行距離は往復400キロ超。朝7時半に会社を出て、夜7時頃に帰社、帰宅するのは午後9時過ぎだ。小学校3年の男の子と2人暮らしで、近くに住む両親の助けで仕事が続けられる。「女にできる仕事じゃない」。始めたばかりの頃は、心無い取引先の声に悔し涙を流した日もあったという。しかし今では「力では男にかなわなくても、丁寧な荷物の取り扱いや笑顔といった女らしさで勝負します」。”トラック野郎”の世界をしなやかに生きている。