スマイルシェア

スマイルジャーナル

Smile journal
最新情報・コラム
Information and letters
2019年6月14日 : ニュース

制度と意識 両面で改革を


(2019年6月4日熊本日日新聞参照)
 熊本大大学院 八幡彩子教授に聞く◇やはた・あやこ1966年、旧植木町(現熊本市北区)出身。お茶の水女子大大学院家政学研究家修了。96年から熊本大学に勤務し、2019年から現職。同市男女共同参画会議会長などを歴任。

 女性の働き方や活躍の場が多様化する一方で、就職や昇進、職場環境などさまざまな場面で依然として「男の格差」も残っている。女性の労働環境の変化や、社会や企業が対応すべき課題について、熊本大学院教育学研究科の八幡彩子教授(家政学)に聞いた。(堀江利雅)

 -女性の働き方や社会環境はどのように変わってきましたか?
「制度面から見ると採用や昇進で性別による差別を禁じた男女雇用機会均等法(1986年)が女性の社会進出の流れをつくった。また、『子育てサポート企業』を認定する次世代育成支援対策推進法(2003年)により、女性が活躍できる企業は社会的評価も高まるという意識付けになった」「ただ、女性の管理職の人数や年収などをみても男女の格差は歴然としている。今の管理職や役員世代には依然として『男は仕事、女は家庭』という考えが残っているが、現場世代では共働きや男性の家事、育児は当然というのが一般的。今が過渡期といえる」
 -キャリア形成の中で男女の間には多くの壁があります。
 「制度と意識の両面で改革が必要だ。例えば、出産や育児の期間を前提として、実績評価や昇進機会の均等性を確保する調整制度があってもいいのではないか。男性も含めて、産休や育休は『空白の期間』ではなく、家庭や地域と関わる経験は考え方の幅やコミュニケーションなどのスキルアップにつながるという価値観の転換が求められている」
 -女性が働く職種の幅も広がっています。
 「技術職や消防士など男性的とされていた職場でも女性が十分に活躍できることが証明されている。逆に、学生の話などを聞くと、保育や看護など女性的とされる職業へ挑戦する男性は比較的少ないと感じる。男性中心の職業観や家庭観は根強いが、多様な分野で両性の意見が反映される柔軟さが、企業や社会を豊かにする」
 -女性の社会進出のために必要なことは何でしょう?
 「女性の社会進出が叫ばれて久しいが、男と同じようにバリバリ働く女性ばかりが注目されていた側面もある。もちろん、働きたい女性が男性と差別なく活躍できる環境の整備は必要だが、女性の中でも家庭と両立して自分のペースで働いたり、出産や育児を経て出世を目指したりと希望はさまざまだ。これは男性にも言えることで、性別にとらわれない働き方の多様性が求められている」「給与ややりがいだけでなく『ワークライフバランス』を求める人が増えている。人手不足が叫ばれる中、企業としても育児支援制度などの充実は優秀な女性の確保や企業の社会的評価を高めることにもつながる」