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2019年6月28日 : ニュース

男女共同参画基本法施行から20年 ①


(2019年6月23日熊本日日新聞参照)
 1999年に男女共同参画社会基本法が施行されてから、23日で20年になる。この20年で日本の社会はどう変わり、変わらなかったのか。今春の東京大の入学式で性差別問題に切り込んだ祝辞が話題となった社会学者の上野千鶴子さんら、男女4人の識者に寄稿してもらう。

寄稿 社会学者 上野千鶴子さん 続く差別 限度超え#Me Too

「男女共同参画はわが国21世紀社会の最重要課題のひとつ」と謳った基本法の成立から、20年。今や「あらゆる分野における男女共同参画」は、国策となった。2003年に第3次国内行動計画でうちだされた「202030」(2020年までにあらゆる分野における指導的地位に占める女性の割合を30%に)を、安倍政権は引き継いだ。
「202030」と聞いたときに、わたしの最初の反応はなぜ「202050」ではないのか?というものだったが、それどころではない。
「202030」と言えば来年である。政治、行政、教育、企業等のあらゆるデータが、達成は不可能であると告げている。とはいえ、組織論における3割は、少数派が少数派でなくなるクリティカル・マス。女性が3割占めれば組織文化は変わる、と言われている。
 だが、昨年の#MeTooに引き続く東京医科大不正入試事件で、医学部の女子学生数がゲート・コントロールされていることが発覚した。それ以前から女性医療者ネットワークでは、医師国家試験の女子合格者比率が3割までに達したものの、長期にわたってそれ以上増えないことに疑問を呈してきた。東京大学の女子学生比率も2割を越さない。
 入口でコントロールされているのではないか、という問題意識から、日本学術会議のジェンダー研究分科会を中心に、6月8日に「横行する採用・選考における性差別の実態と課題」と題する公開シンポジウムを開催した。間接差別とは、個別には直接差別を証明できなくとも、応募者性比とのあいだに統計的に有意な差を認めることが出来た場合に、差別の疫学的証明ができることを言う。
 社会学者の大沢真知子さんは民間企業の総合職採用の競争率が男子30倍に対して44倍という数値を示した(2014年厚労省)。企業の人事担当者のあいだでは「優秀な順に採ればほとんど女になってしまうから、男に下駄を履かせている」という声が、半ば公然とささやかれている。改正均等法で「募集・採用」の性差別は当初の努力義務から禁止規定になったのに、均等法にはほとんど実効性がないと見えて、女子枠、男子枠がどの企業もありそうだ。公務員採用だって、どんな情実が働いているか、わかったものではない。
 メディア研究者の林香理さんが指摘したのが、マスメディアの男性中心的な組織文化である。性差別の報道をするなら、まずマスコミ各社が、応募者性比と採用者性比の情報公開をしたらどうか?やましいことがなければ、できるはずだろう。
 誰もが暗黙のうちに認めていて、仕方ないと受け入れてきた不当な慣行や組織文化を、東医大問題は明らかにした。他の分野でも、暴けばいろいろな不公正や差別が横行していることだろう。社会は遅々として変わらないように見えても、女性の受忍限度はあきらかに低下している。もうがまんできない、と声を挙げたのが#MeToo運動だった。昨年の国会で候補者檀上均等法が成立した。努力義務のみで罰則はない。だが、今年の参院選でどの政党が真面目にこの法律を遵守するか、監視しよう。