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2019年8月22日 : ニュース

弱い立場 現場から悲鳴


(2019年8月21日熊本日日新聞参照)

 一方的契約解除、ハラスメント、低報酬・・・

 一方的な契約解やハラスメント、低い報酬-。「闇営業」に端を発した吉本興業を巡る問題では、事務所とタレントの間特有の力関係から生じるこうした実情が明らかになった。だが、それは取引先で対して立場が弱くなりがちなフリーランス全体に共通する。政府は、現在フリーとして働く人は300万人以上との試算をまとめた。当事業者団体は「雇用契約がなくても働く人として尊重して欲しい」と訴える。

 「日本俳優連合」など3団体が今夏、芸能や出版など幅広い分野でフリーとして活動する人にハラスメントの実態調査を始めると、半月だけで約700件もの回答が寄せられた。いずれも仕事打ち切りなどを恐れて声を挙げられない人たちの悲鳴のような訴えだ。

 40代の映像制作の女性は「打ち合わせと称してホテルに呼び出されて暴行された」という。被害を訴えても信じてもらえないと恐れ、被害届は出せていない。

  吉本興業を巡っては、所属タレントの多くと契約書を交わしていなかったことに批判が出たが、芸能関係者の一人は「自分たちも同じ。契約書もないし、ギャラも振り込まれるまで分からない」と話す。3団体は調査結果を9月に厚生労働省に提出し、対策を求める考えだ。

 特定の組織に属さないフリーは仕事ごとに契約を結び、自分の専門的知識や技術を提供して対価を得る。最低賃金は適用されず、産休や育児休業などの制度やけがや病気による休業中の補償もない。これらは雇用されている人を対象とした制度だからだ。

 会社員と違い、働く場所や時間に制限がなく自由度が高いのが利点だ。政府は6月にまとめた成長戦略で「会社員よりも個人事業主・フリーの方が満足度が高い」と触れ、フリーを選択できる環境整備を促している。

 一方、実態調査の事務職を担うフリーの編集者杉村和美さんは「実際は正社員に近い働き方をしているフリーもいるが、雇われている人にはある権利や保護がない」と主張する。

 ハラスメントに関しては、働く人は雇用契約の有無にかかわらず守られるべきだという考え方が国際的な潮流だ。国際労働機関(ILO)が6月に採択した条約は、暴力とハラスメントを法的に禁じることや被害者の救済を確保するよう求め、保護の対象にフリーなどを含めている。

 だが、国内では法整備の遅れが目立つ。セクハラやパワハラの防止措置を企業に義務付ける法律もあるが、雇用されている人が対象。フリーのような働き方についても保護や支援の在り方を検討する方針で、労災保険の加入対象を拡大することなどを議論するとみられる。