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2019年10月31日 : ニュース

障がい者雇用 適性見極めて


(2019年10月27日熊本日日新聞参照)

 県内企業 事前実習 入社スムーズに

 中央省庁や県内自治体の雇用率水増しをきっかけに、改善に向けた取り組みが進む障がい者雇用。県内企業の障がい者雇用率は2.25%(2018年)と全国平均を1割ほど上回るが、雇用義務があっても障がい者を雇用していない企業は約3割にのぼる。積極的に障がい者登用を進める企業の話などから、障がい者雇用の実現に必要な視点を探った。

 「木材は製品の土台となる大切なもの。加工前に木の皮が付いていたり割れたりしていないか、くまなくチェックします」

 熊本市中央区の田中材木店。創業114年の同社で角材加工などを担当する後藤大輔さん(43)は、1日に持ち場をいくつも変わりながらフルタイムで働く。後藤さんには知的障害があるが「仕事が多岐にわたり最初は大変だったけれど、周囲がサポートしてくれる」と前向きに語る。

 同社初の障がい者として1995年に入社した後藤さん。採用前には2週間職場で実習を経験し、スムーズな入社につなげた。「前もって仕事を体験するとしないでは全然違う。仕事が自分に合っているかや職場の雰囲気が分かって、入社してからも安心して働けた」と振り返る。

 県労働雇用創生課によると、県内企業の障がい者雇用率はこの10年で0.3ポイント超上昇。「さらに高い水準を目指すには、障がい者を雇用したことのない企業をはじめ社会全体の理解促進が欠かせない」と話す。

 熊本労働局やハローワークなど関係機関と連携しながら障がい者雇用に力を入れる企業の顕彰や啓発を進める考えで、「事前の実習で障がいの特性や働き方を本人と入念に打ち合わせて社員と共有する」(田中信敏・田中材木店副社長)といった具体的な職場定着策を広く伝えていく方針だ。

 長年、県内で障がい者雇用に取り組んできたのが自動車や二輪自動車部品を製造する「希望の里ホンダ」(宇城市)だ。勤続30年になる本田和男さん(57)は、「車いすの勤務を想定して作業場が低く作られており、座ったまま仕事ができるので働きやすい」。本田さんは交通事故の影響で下半身に障害がある。

 同社はホンダで障がい者雇用を進める特例子会社。従業員60人のうち23人に身体、3人に精神障害がある。社内ではバリアフリー化に加え、手書きだった業務報告をタブレット端末入力に切り替えるなど効率化。残業ゼロも達成し、業務改善をすべての社員が働きやすい環境づくりへとつなげている。

 障がい者雇用に特化したコンサルティング会社を福岡市で経営する木佐貫恵津子さん(57)=熊本市=は「障害をマイナスで捉えるのではなく、特性が合いさえすれば障がい者は戦力になる」と指摘する。鍵となるのが実習時の見極めで「できる仕事と難しい仕事を客観的に評価して、適切な職種や企業とのマッチングにつなげることが重要」という。

 木佐貫さんは「障がい者本人が会社への貢献とやりがいを感じられれば、雇用とサポートを、すべての社員が働きやすい職場づくりのきっかけとしてほしい」と話している。