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2019年11月7日 : ニュース

優秀な人材確保へ躍起


(2019年11月2日熊本日日新聞参照)

深刻な介護現場

 「体調はどうですか」「うん。よかよ。あんたたち日本語がまた上手になったね」「まだまだですよ」-。熊本市西区の特別老人ホーム「みかんの丘」。有明海を見渡す談話室で20代のミャンマー人女性2人が入所者と談笑する。4月に県内で初めて就労した介護分野の技能実習生だ。

 介護分野の外国人技能実習は2017年に解禁。ロイ・トエーさん(28)とサンダー・ビョウさん(23)はミャンマーで約1年間の日本語学習などを経て、同ホームに来た。

 入居者の鹿子木昭代さん(84)は「2人とも日本人と変わらず、仕事が丁寧で優しかよ」と信頼を寄せる。

 2人は六つある班を順番に回って実習。日本人班長に付き、ベッドや車いすの生活介助技術や介護の知識などを学んでいる。

 この日、トイレの介助をしていたビョウさんは「認知症の方も多いので戸惑うこともあるけど、人と関わることが好きなので、利用者との会話の中で日本語や日本の文化も教えてもらっています」と笑顔で話す。

 入居者の歩行介助をしていたトエ―さん。ベッドや車いすから移乗するときの体の動かし方だけでなく、声掛けなど介護の心構えを学んでいた。

 「ミャンマーの高齢化はまだ進んでいないが、介護施設などができたとき、日本で学んだ技術を生かしたい」と真剣だ。

 同ホームが2人をした背景には、介護分野の深刻な人材不足がある。政府の試算では25年度に必要な介護人材は約245万人で、16年度より55万人多くなる見通しだ。

 同ホームの池尻久美子施設長(47)は「介護を真剣に学びたい優秀な外国人実習生を確保するルートをつくっておきたい」と将来的な職員不足を見据える。中国やベトナムなども視察しており「ミャンマー人は仏教国の特性もあり介護に必要な慈愛の精神を感じた。現地の複数の送り出し機関と関係を築いている」。今後も1年ごと2人の採用を続ける計画という。

 だが、人手不足に伴う懸念も。仲介団体の国際介護人材育成事業団(東京)の小沼正昭理事(69)は「今後、施設側が単に安い労働力と捉え、外交人の採用を増やしていけば、各国から介護に関心がなかったり、日本語レベルの低かったりする人材がやってくることも起こり得る」と警鐘を鳴らす。

 同ホームの2人の実習期間は5年を想定。給与水準は日本人と同じで、渡航費や受け入れの仲介団体に払う費用などが1人計100万円ほどだという。

 池尻施設長は「日本人職員と同じで、将来的な戦力として育てたい。中長期的に見て実習生と施設側両方の利益を考える仕組みや関係つくりが求められている」と話す。