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2020年10月12日 : ニュース

女性活躍 安倍政権で進展せず


(2020年10月3日熊本日日新聞参照)

佐々木 かをり 横浜市生まれ。上智大卒。コンサルティング会社「ユニカルインターナショナル」「イー・ウーマン」を設立し代表取締役社長。国際女性ビジネス会議実行委員長。内閣府や厚生労働省などで審議会委員を歴任。小林製薬などの社外取締役も務める。「ダイバーシティインデックス」創設者。

 2012年に第2次安倍晋三内閣が発足し、最初に掲げたのは「女性が輝く社会」。「女性活躍」を首相が成長戦略の一つとして語ったことは画期的で、日本の経済界をも動かした。「202030(にいまる、にいまる、さんまる)」、つまり「20年までに指導的立場の女性を30%にする」ことを、国内だけでなく米ニューヨークの国連総会を含め、海外でも宣言し続け、日本の大企業も女性の管理職昇進を意識し始めた。

 私たちが毎年開催している「国際女性ビジネス会議」をモデルに、政府は14年から「国際女性ビジネス会議」をモデルに、政府は14年から「国際女性会議」をスタートさせ、年1回、各国の女性政治リーダーを招き、女性を活躍させると発信し始めたことも大きかった。同年、有価証券報告書等において、役員の男女別人数と女性比率の記載を企業に義務付け、開示させる内閣府令の改正を実施。さらに女性取締役を最低1人は任命するよう促した。

 政治の領域でも、18年に候補者をできるだけ男女均等にするという「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」、通称「候補者男女均等法」を施行。また、駐日女性大使たちと年1回懇談会を開催するなど積極的に取り組み、世界から「女性の輝く社会をつくろうとする総理」として認知された。

121位へ転落

 しかし、就任から辞任までの間の男女格差を数値で見ると、大きな進展はない。スイスに本部を置く世界経済フォーラムが経済、教育、政治、保健の各分野のデータから作成集計する「ジェンダーギャップ指数」は、12年に135カ国中101位だったが、19年発表の報告では153カ国中121位へ転落。

 候補者男女均等法でも、施行後初の国政選挙となった19年の参院選で、女性候補者の比率は、公明党が8.3%,自民党14.6%と最下位と最下位から2番目だった。与党自ら法律を守っていない。

 世界に宣言した202030までもが、今年夏に静かに幕を下ろされ「20年代の可能な限り早期に」と曖昧な表現に変わった。女性労働者は66・1%(16年)とアメリカをも上回ったが、ほとんどが非正規労働と指摘される。

 企業価値を高めることがデータで裏付けられている女性取締役についても、大きく遅れている。ノルウェーは取締役が9人以上の場合は男女それぞれ40%以上と規定。守らないと最終的には上場廃止となる。米カリフォルニア州は州に本社を置く上場企業は、役員会に最低1人は女性(出生時の性に関係なく本人が女性として自認している個人)を、21年末までに、役員5人の企業は女性役員を2人に、役員6人以上なら3人に増やさなければならない。罰則もある。

 しかし日本では、増えつつあるといっても20年9月発表の民間企業調査によると、1部上場企業で全取締役の女性比率はわずか7.1%。この低さも世界から注目されている。

女性閣僚は2人

 菅内閣はどうだろうか。女性閣僚が2人しかいないことは、一斉に世界で報道された。9月末に開催した「第25回国際女性ビジネス会議」でも、日本の内閣は大丈夫か、日本のメディアや政治があまりに男性視点に偏っていないか、と話題になった。グローバル化、デジタル化した世界で、日本に暮らす人々がのびのびと幸せに、生産性高く働ける社会をつくるため、菅義偉首相は積極的かつ大胆に女性や若手を重要ポストに任命するなどして、多様な視点(ダイバーシティ)を生かして成果を上げていく必要がる。

 個人的には自民党の野田聖子幹事長代行と山田真貴子内閣広報官の任命に注目しているが、日本を成長させるには、未来をつくる意識と実力のある、さらに多くの優秀な女性たちを重要ポストに就けて欲しい。

 菅首相のもとで、既に施行されている関連の法律が力強く実行され、成果を上げるかどうかを見ていきたい。女性議員は増えるのか、女性取締役は増えるのか、さらに選択的夫婦別姓など長年の課題は解決するのか。女性活躍は、人権や平等という重要性にとどまらず、経済発展や社会の工場に必須である。新政権で、女性活躍、ダイバーシティの視点を生かす政治が展開されるかどうか、国民の私たちは注視していきたい。