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2020年10月13日 : ニュース

コロナ禍と就活


(2020年10月8日熊本日日新聞参照)

「氷河期」再来を避けたい

 来春卒業予定の大学生らへの採用内定が主要企業で正式に解禁された。春先まで「売り手市場」で推移していた就職活動は、新型コロナウイルスの感染拡大で状況が一変。内定率は前年を下回っており、多くの学生たちが不安の中にいる。

 バブル崩壊後の就職難で非正規雇用が増えた「就職氷河期」の再来は、何としても避けなければならない。正社員の就職率をいかに高めるか―。官民が危機感を共有し、早急に知恵と力を結集する必要がある。

 リクルートワークス研究所が8月に発表した来春卒の大学生らに対する企業の求人数は、前年比15.1%減の68万3千人だった。前年から12万人以上減ったものの、求人倍率は1.53倍を維持。リーマン・ショック後に1.2倍台で推移した2011~14年ほどの落ち込みは免れた。

 リクルートキャリアがまとめた来春卒の大学生の内定率は、9月1日時点で前年同期比8.7ポイント減の85.0%にとどまる。ただ前年との差は6月1日時点の13.4ポイントから縮まっており、4~5月の緊急事態宣言による採用活動の停滞を挽回しつつある。

 とはいえ、日本航空や旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が、相次ぎ新卒採用の中止を決めるなど、コロナ禍は就活に暗い影を落としている。今春卒業の大学生や高校生への採用内定取り消しが、昨春卒の5倍に当たる174人に上ることも分かった。こうした動きが広がれば、日本の将来にも大きな影響を及ぼすことになるだろう。

 就職氷河期世代は、今の30代後半から40代半ばの人たち。非正規雇用の割合が高く、未婚・晩婚化が進み少子化に拍車をかけたとされる。厚生年金に入らなければ老後は低年金者が増え、生活保護費の増加にもつながる。人口減や貧困化による消費低迷は、社会保障制度の財政基盤を揺るがす。政府が昨年、約3年間で計650億円超の予算を確保して氷河期世代の正規雇用推進に乗り出したのは、こうした危機感があるからだ。

 経済界や国は、足元の経営危機乗り切りを優先し、中長期的な思慮を欠いた採用抑制策により氷河期時代を生み出してしまった過ちを繰り返してはならない。企業は、当初の採用予定枠をどうにか維持できないか検討してもらいたい。新卒一括採用などの慣行にこだわらず、既卒者も含めた通年採用など多様化の努力も、今以上に期待したい。国や自治体はこうした企業の動きを政策として支援していくべきだ。

 一方、コロナ禍でも求人総数は就職希望者数を約24万人上回り、人手不足は今後ますます深刻になる。企業がインターネットを介した「オンライン面接」に対応しているかどうかが、就活生の応募意欲を左右するとの調査結果もあり、採用のオンライン化は定着するとみるべきだろう。今年は対応を見合わせた企業も人材確保に向けて強化しておきたい。