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2019年2月20日 : ニュース

「幼児教育・保育無償化」2


(熊本日日新聞2019年2月13日参照)
 

無償化より「待機」解消を ~大改革に保護者冷淡「認可保育所 増やして」

 幼児教育・保育の無償化を実施するための子ども・子育て支援法改正案が12日、閣議決定された。安倍晋三首相は「70年ぶりの大改革だ」と自賛する。一方、今春の認可保育所の入園可否通知が届き始め、会員制交流サイト(SNS)上では「保育園落ちた」の書き込みが増加。「無償化より待機児童の解消を」と訴える保護者の声は根強く、政権の重要政策に対する保護者の視線は冷ややかだ。
 「小学校、中学校9年間の普通教育無償化以来、70年ぶりの大改革だ。産み、育てやすい国へと大きく転換していく」。12日の衆院予算委員会。安倍首相は「看板政策」である幼保無償化の意義を強調した。

 

突貫工事

 2017年秋の衆院選の目玉公約として突如、打ち出され「突貫工事」(政府関係者)で整備された無償化だが、課題は山積している。希望しても認可保育所などに入れない待機児童は昨年4月時点で全国に2万人もいる。「まず、認可保育所の整備を」というのが保護者の切なる願いだ。
 認可保育所や認定こども園などは無償化されるが、子どもが認可施設に入れなかった保護者の救済のため、政府は国が定める指導監督基準を満たさない認可外施設でも5年間、月3万7千円を上限に補助する。
 国の調査結果では、認可外は認可保育所に比べ死亡事故が多く、安全性に課題を残す。衆院予算委員会で立憲民主党の阿部知子氏は「5年間そこに国のお金を補助して子どもを危険にさらす方向は間違っている」と指摘。しかし安倍首相は「認可外施設の質の確保、向上を図っていく」と述べるにとどまり、具体策は示さなかった。

 

「全落ち」

2月上旬は、今年4月の認可保育所の入園可否通知が相次ぐ次期。SNS上には「#保育園落ちた」という「ハッシュタグ」(キーワードで検索できる目印)を付けた投稿があふれている。
 「認可外も全落ち」「公務員フルタイム共働き、りょうじっか遠方で県外で落ちた。市でもない田舎なのに」。悲痛な叫びの中には「保育士でも落ちた」の書き込みがもあった。
 「#無償化より全入(全員が入園)」に関連する投稿も。「なんで政府は、保育園に入れず困っている人をサポートしないのか。増税するなら土地買って保育園作って」。政府の看板政策に対する保護者の見方は厳しい。

 

賃金上げて

 子どもが保育所に入れず、国に不満をぶつけるインターネットの匿名ブログが反響を呼び、国会前での抗議行動に発展した「保育園落ちた 日本死ね」から約3年。待機児童問題に取り組む「みらい子育て全国ネットワーク」の天野妙代表は「SNSへの書き込みを見ると、当時に比べ、建設的な発信が増えた」と指摘する。
 保育士の処遇改善を求める声が多いのが特徴だ。保育所の人手不足は深刻だが、資格を持ちながら働いていない「潜在保育士」は数万人にも上るとされている。保育士の平均年収は342万円と全産業平均を約150万円も下回っており、低い賃金が離職の背景にある。
 「保育の質を保ちながら受け皿を増やすには、無償化ではなく保育士の処遇改善が最優先」。そんな声がネットに広がる現状を天野氏は「悪政が市民をより賢くした」と皮肉った。