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2019年5月31日 : ニュース

子育て世代 昇任ためらう


(2019年5月26日熊本日日新聞参照)
平成から令和になった5月、熊本市役所庁舎1階の中央区役所の窓口は、さまざまな手続きに訪れる人たちでにぎわいを見せる。その光景を見つめながら、市民局長の石櫃仁美さん(57)は「多様な視点や意見を市の取り組みに反映させるためにも、女性が政策決定にかかわっていくことがますます大切になる」と強調する。
 石櫃さんは3月まで中央区長を務め、窓口の改善に取り組んだ。待合スペースの長いすは適度な硬さの手すり付きに交換。お年寄りが、腰が沈むいすから立ち上がるのに苦労する姿を見たのがきっかけだ。
 学習院女子短大を卒業し、1983年に入庁。86年の男女雇用機会均等法施行前で、当時は女性の採用条件に「自宅通勤」を挙げる企業も少なくなかったという。職場結婚し1男1女を育てながら、福祉や教育行政、まちづくりなどの分野でキャリアを積み重ね、幹部職員になった。
 「仕事を続ける中で、管理職として自分の思いを実現していきたいと思うようになった。男女共同参画の時代となり、頑張る女性の先輩たちの姿も励みになった」

管理職受験率に差

 同市が2017年に実施した職員アンケートによると、男女とも6割以上が「仕事の経験を積む機会は男女の区別なく与えられている」と回答。近年は毎年、局長級に女性職員の姿がある。局長や区長ら29人のうち女性は3人。石櫃さんに続く後輩たちの姿はまだ少ない。
 同市の課長級以上の女性割合は18年度、8.9%で20政令市で最下位。19年度も0.1ポイント上昇の9.0%で、20年度に13%にするという目標には遠い。
 理由の一つは昇任試験受験への「ためらい」だ。熊本市では管理職になるためには必須だが、受験するしないかは職員自身が選択する。「班長」などを務める主査級の試験の場合、受験率は18年度、男性68.2%に対し女性は39.8%にとどまる。
 主査級を受験できるのは34歳から。子育て中の30代後半の女性職員は受験を見送った。「仕事はやりがいがある。でも子どもが幼いうちは病気などで、急に休まざるを得ないことがあり、班長の責務を果たせるのか…」と打ち明ける。
 市人事課の担当者は「試験は公平性を確保し基準の明確化を図るためだが、主査級ではちょうど出産や育児と重なる人もいる」と悩ましい現状も語った。
 市は、19年度中に育児・介護に携わる職員を対象とした在特勤務制度も導入する方針だ。「仕事と家庭の両立支援に地道に取り組んでいく」と人事課。女性が活躍できる環境の現実は、道半ばだ。